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≪一人ひとりのおもいが時代を前進させる≫

 12月になりモノトーンの季節になりました。外は雪景色です。例年12月になるとクライマックスを迎えるものにNHKの大河ドラマがあります。私は大のファンで小学校5年生から連続で視聴をしています。最初に見たのは「国盗り物語」でした。火野正平さんが豊臣秀吉を演じていたと記憶しています。調べてみると来年で50回を迎える大河ドラマの最多登場人物は予想通り豊臣秀吉。なんと16回だそうです。うち3回も緒方拳さんが演じているというから驚きです。

 そんな大河ドラマも今年は11月で終わってしまいました。代わりに日曜の夜の時間帯で年末に集中放送されるドラマ「坂の上の雲」があります。しかも3年で完結するように放送されるのです。先日、第一回の放送があり楽しみにしていました。明治維新前後から日露戦争で大国ロシアに打ち勝つまでの半世紀あまりを描いています。おそらく日本が歴史上最も輝いていた時代の物語です。司馬遼太郎氏の原作を読んでいても高揚感が伝わってきます。それは、その時代を生きていた人一人ひとりがもっていた感情みたいなものです。この感覚を三人の主人公、秋山好古(よしふる)、秋山真之(さねゆき)兄弟と正岡子規を通して描写しています。

 日本にエネルギーが最も充満していた時代。何度読んでも力が湧いてきます。その雲は手に取ることができないのに、そこに向かって邁進してしまう…原作のあとがきにこうあります。「楽天家たちは、そのような時代人の体質として、前のみを見つめながら歩く。上ってゆく坂の上の青い天に、もし一朶の雲がかがやいているとすれば、それのみを見つめて上ってゆく」

 それに引き換え、昨今の姿は…と嘆息が交じってしまいます。しかし、このような明治の氣概も基は、一人ひとりが原点。秋山好古のおもいが世界最強のコサックの騎馬隊に勝利し、秋山真之のおもいが日本海海戦を勝利に導いたのです。今こそ、一人ひとりという意識を確認するときなのだと、第一回の放送をみてあらためて感じ入りました。

 物語からの学びは、長く心に刻まれるという特徴があります。しかも映像であれば、なおのこそ。キラキラ、ワクワク感満載の映像全13回、3年間楽しめます。今年の12月は歴女、歴男…いかがですか。

ナレッジアドバイザー 佐藤 等

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