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ナレッジメール便 【経営のヒント 189】

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◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆      ◆◆◆
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◆◆◆                     ◆  ◆    ◆       第189号

今日もまたまた『断絶の時代』第9章「多元社会の理論」からです。
今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
われわれにわかっていることは、自らの能力、
知識、努力の一割程度の成果をあげている者さえ
ほとんどいないということである。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
エターナル版『断絶の時代』1969年 ダイヤモンド社より

1969年当時の状況を言い表した一言ですが、40年経った今日現在も状況はあまり変わらないのではないかと思います。
少なくとも一割が八割にはなっていないと思います。
この理由には、とても興味が湧きます。
なぜならその理由を知り、理解を深めることで成果の大きさが変わってくるからです。

<第一の理由とポイント>
理由の第一は、ドラッカー博士によれば、「組織は法律上の擬制」だからです。
簡単にいえば形式的、便宜的につくられた「空箱」だということです。
そして組織の実質は、人の集まりだということです。それゆえ成果をあげるには、組織にいる人を生かす以外に方法はないことになります。
集まった大勢の人々が個々に何事かを決定し、行動することで成果が生み出されるのです。

成果をあげる第一のポイントは、組織に属する一人ひとりが決定に関する能力と行動に関する能力を修得することです。
具体的な決定に関する能力には、なすべきことを決める能力、集中すべき重要なことを決める能力、意思決定の手順などがあり、行動に関する能力には、時間を管理する能力、強みを生かす能力などがあります。
このような成果をあげる能力を一人ひとりが身につけることが、すべてのスタートとなります。

<第二の理由とポイント>
理由の第二は、ドラッカー博士によれば、成果についての理解が不十分だからです。
成果は、組織にとって必要であると同時に、そこで働く一人ひとりにとっても必要だということです。組織にとっては、社会が必要とするものを提供し続けるために成果が必要です。またそこに働く者にとっては、自己実現を果たす手段として成果が必要なのです。

それゆえ成果をあげる第二のポイントは、一人ひとりが組織を活かした成果のあげ方を理解することです。ドラッカー博士は言います。成果は自動的に生まれるものではない。ハウツーによって簡単にできるものでもない。試行錯誤で得られるものでもないと。
組織の成果は、一人ひとりの貢献の連鎖の先にあります。
ということは、鎖の一つひとつのリング、つまり「なされるべき仕事はなにか」を明らかにすること。
そして一つひとつのリングに、知識が盛り込まれていればいる程、そのリングの貢献は大きいことを理解する必要があります。
一人ひとり問いかけなければなりません。
リングの貢献度を増すためには、「何を身につけるべきか」と。
次いで、そのリングが次のリングにチャンと連結され、途中で途切れてはいけないことを確認する必要があります。
そうして強固で長い連鎖の先に大きな成果が約束されています。

長くなりましたが、最後にドラッカー博士の言葉で締めくくります。
「行動の変化よりもまず理解の変化を迫る」べきだと。

佐藤 等

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