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ナレッジメール便 【経営のヒント 307】

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◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆      ◆◆◆
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◆◆◆                     ◆  ◆    ◆       第307号

今日も『マネジメント』<中巻>第38章「コミュニケーション」からお伝えします。

<ドラッカーの一言>
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自己目標管理こそコミュニケーションの前提となる。
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『マネジメント<中>』p.156 1973年 ダイヤモンド社

コミュニケーションは、下から上が基本です。部下から上司へということです。
コミュニケーションの原理(前4回で説明)にしたがうと、コミュニケーション成立の要件の第一は、双方が知覚可能な言葉でやりとりしていることです。

第二に相手の期待に沿っていることです。今日の言葉にある「自己目標管理」こそ、その要件を満たしている重要なツールです。通常、自己目標管理は、「部下は上司に対して、組織全体もしくは自らの属する部門にいかなる貢献を果たすべきかを考える」とドラッカー教授は述べました。つまり情報の受け手=上司の要求(第三の要件)と一致する可能性があります。上司が考える要求と設定された目標が一致していれば、そこでコミュニケーションが成立します。

しかし、ドラッカー教授は「部下の考えが、上司の期待どおりであることは稀である」と指摘しました。むしろ見ている現実が異なる以上、当然というわけです。
両者の違い、つまりは部下の「期待」と上司の「要求」の違いを明らかにすることに自己目標管理の最大の目的があるといいます。
それこそが、コミュニケーションの本質です。

このような自己目標管理を前提としたコミュニケーションが成立すれば、部下は「やりたいこと」と「なすべきこと」の違いを知り、現実のとらえ方の違いを知り、優先順位の必要性を知ることができるといいます。

目標管理は「何をしたいか」という部下の期待からスタートし、結局「これをやってくれ」という上司の要求で終わる場合もあるでしょう。しかしその場合でも単に「要求」するよりも、「期待」からスタートして「要求」に至ることが大切だといいます。

こう考えれば自己目標管理は、組織全体のコミュニケーション能力の向上の有効なツールとなることがわかります。そして自己目標管理で掲げられた目標の達成による自己の成長のみならず、コミュニケーション能力という大きな副産物が得られるのです。是非、自社に自己目標管理というツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

佐藤 等

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