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ナレッジメール便 【経営のヒント 96】

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◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆      ◆◆◆
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◆◆◆                     ◆  ◆    ◆       第96号

今日から『乱気流時代の経営』に入ります。
1980年に書かれたもので、ちょうど私は大学に入学したころです。
それでは、新訳の前書き(1993年)から今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
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乱気流の時代は、危険な時代である。しかしその最大の
危険は、現実を無視したくなるという誘惑にある。
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新訳『乱気流時代の経営』(ダイヤモンド社)より

この時代の日米の置かれている状況を確認してみるとアメリカが自信を失い、日本が高度成長期後の鉄鋼、自動車、電気などでアメリカ市場を席巻しつつあるという状況です。1979年に書かれた「ジャパン・アズ・ナンバーワン」によれば、当時アメリカでは、政府への不信感が増大し、犯罪や失業者が増加し、インフレ、国の財政赤字に苦しんでいました。インフレを除けば日本が今抱える問題とほとんど同じです。しかも日本の財政は今、世界の歴史上経験のないほど大規模な債務を負っており、まさに「国家破綻」寸前です。たとえるなら、年収500万円程度の人が5000万円を超える借金を背負っている状況と同じです。そんな中で2008年には、国債の借換がピークをむかえ、過剰感から金利上昇が不可避の状況といわれています。これを引き金に国債の大暴落、銀行・生命保険の含み損による経営破綻…と続いて起こるかもしれない最悪のシナリオには、震えが止まりません。
本書のまえがきに次の言葉があります。
「乱気流の時代においてマネジメントすることは、新しい現実に直面することを意味する。それは、わずか数年前には意味のあった前提や仮定からではなく、『世界は本当はどうなっているのか』を問うことからスタートしなければならないことを意味する。」
日本国が破綻の淵にあろうとも、日本国民が雲散霧消するわけではありません。
こんな時代を現実を無視したくなる誘惑を断ち切り、「覚悟」をもって乗り切っていかなければなりません。
ドラッカーが25年前に著した本書は、新しい現実を利用して、乱気流そのものを機会に転換する知恵に満ちています。
全20章、しばらくまたお付き合いください。

佐藤 等

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