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ナレッジメール便【経営のヒント 463】

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◆ 経営のヒント~ドラッカーのナレッジ ◆    ◆◆◆
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◆◆◆                  ◆  ◆   ◆    第463号

今日のテーマは「測定のための尺度」についてです。まずは今日の言葉から。

<ドラッカーの一言>

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管理のための測定を行うとき、測定される対象も測定する者も変化する。
測定の対象は新たな意味と新たな価値を賦与される。
したがって管理に関する根本問題は、いかに管理するかではなく何を測定するかにある。

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『実践するドラッカー チーム編』p.90
原典―『マネジメント[エッセンシャル版]』p.166

前回、ドラッカー教授は自己目標管理をマネジメントの哲学であると述べ、
教授が体系化したマネジメント実現の要であると位置づけたことを記しました。
自己目標管理に必要不可欠のものがフィードバック情報です。
企業から自己目標の達成度を自己評価できる情報を提供することです。

自己目標管理は目標設定、尺度による測定、測定結果の情報フィードバック、自己評価をもって完結します。
これによって知識労働者は自ら考え、決定し、行動した結果のパフォーマンスを自ら知りうるのです。
これが動機づけにつながります。ドラッカー教授のマネジメント実現のためのラスト・ワン・ピースが評価・測定という難しい課題なのです。
教授自身も簡単なものではないといいます。

今日のドラッカー教授の一言は示唆に富んだ言葉です。
要約すると人は何を測るかによって意識をそこに向けることを示しています。
私たちは何かを測ろうとした場合に、まず既にある測定値を用いようとします。
売上、客数、単価や利益はその最たるものです。

売上だけを自己評価のために測定尺度すれば、意識はそこに向かい利益率を落としても売上を獲得しようとするでしょう。
利益だけを測定尺度にすれば意識はそこに向かい新規の取引先を獲得する機会を逸するかもしれません。

しかも売上も利益も活動のアウトプットサイドのいわば結果に過ぎません。
結果を測定しても活動にフィードバックさせることは困難です。
そこで何を測るのかが重要になります。
工夫の一つに活動のインプットサイドの測定尺度を開発することを挙げることができます。
たとえば営業であれば訪問件数や紹介数を測定します。
意識がそこに向かいます。

測定して気づくことは1日あたりの訪問件数が同数程度でも差があることです。
訪問活動の質が異なるのです。
どんな活動に置き換えていかなければならないのでしょうか。
自分の経験やスキルなどを用いて考えます。
あるいは先輩の経験を参考にするかもしれません。

紹介件数が重要な測定尺度なのでしょうか。
もしかしたら紹介元数(紹介してくれる人)を測るべきかもしれません。
紹介件数を増やす活動と紹介元数を増やす活動は似て非なるものがあるかもしれません。

自己目標管理に不可欠の測定尺度の開発とそれによる方向づけは、マネジメントに不可欠です。
なぜなら何を測定するかで人の意識が変わり、活動も変化するからです。
ドラッカー教授は人がもつこの特性を活かそうとしました。
何を測定するかで劇的な意識と行動の変化を生み出すことが期待されます。
これほど強力なツールは他にないかもしれません。
是非、測定尺度の開発にも時間を割いて下さい。

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<実践のための問い>
売上(アプトプット)をあげるためどんなインプット尺度を用いますか?

佐藤 等

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