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ナレッジメール便【経営のヒント 598】

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しばらく目標に関する原理のまとめが続いています。
今回も組織や部門で目標を設定する際の原則について書いてみたいと思います。
下記の<マネジャーの仕事>の1.「目標を設定する」に関わる仕事であり、
「目標設定」の局面に関しての原理です。

<マネジャーの仕事 再掲>
1.目標を設定する
2.組織する
3.動機づけとコミュニケーションを図る
4.評価測定する
5.人材を開発する

<目標に関する主な局面 再掲>
1.目標設定
2.目標進捗に関する測定
3.目標の評価
4.フィードバック

 

設定した目標によって人の意識が強力に方向づけられる
<マネジメントの原理109>

目標というと使い古されたツールで何気なく使っているのではないでしょうか。
しかし現実には、相当強力な方向づけのツールとして機能することがわかっています。

たとえば売上目標(あるいはノルマ)を強調するあまり、法令違反の物事を
販売してしまうという本末転倒な事案が新聞報道等で多数報道されています。
本来顧客に何らかの価値を提供し、社会的役割を果たすことを目的としている企業が、
顧客に迷惑をかけてしまうというのは、組織としての存在意義を疑われる状況です。

このような状況は、ときに目標は目的に優先して組織を方向づけることを示しています。
それだけに何を目標に据えるかはとても重要です。
組織に属する者の意識が強くそこに向かうからです。

売上や利益は事業存続に必要不可欠な条件です。
しかし人の意識をそこだけに向ける危険は十分に注意する必要があります。
それゆえ測定対象としての目標は複数の領域で設定しなければなりません。
目的や条件と目標の違いも伝えておかなければ、間違ったメッセージを発し、方向づけを
失敗する可能性もあります。

もう一つ目標設定の局面で重要なことは、目標は測定の対象であるということです。
つまり測定してできたかできなかったか、どれくらいできたかを測ることができるか
どうかが重要です。
たとえば「顧客満足の向上」は目標としては不適当です。
一年後、できたかどうかの評価ができないからです。
測定対象としての目標には測定尺度を設けておくことが欠かせません。
測定可能性を担保することが重要なのです。

これらを原理としてまとめておきます。

売上や利益は、目標ではなく事業存続のための条件として位置付ける
<マネジメントの原理110>

多方面の領域を網羅した目標が人を正しく方向づける
<マネジメントの原理111>

測定対象としての目標は測定可能性な形式で表現し、測定尺度をあらかじめ設定しておく
<マネジメントの原理112>

さてマネジャーの5つの仕事から導き出した原理はこれくらいにして
次回からは、チームやマネジャーに関する原理を取り上げます。

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