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アフターコロナに向けた人間力を磨く人材育成【経営のヒント 646】

今年、最後のメルマガになります。半年ほど、<マネジメントと人間力>というテーマでお伝えしてきました。また、人間学を学ぶ雑誌『致知』の連載も3年目に入りました。

 

この領域は、昨年末に出した『ドラッカー教授組織づくりの原理原則』を出した時には、私の中では未開の領域でした。しかしこの著作の原稿作成する過程で「物語13」(東急百貨店本店)や「物語10」(都田建設)など事例を再読するうちにドラッカー教授のマネジメントの中でも大きな領域を占めることを理解するに至りました。

 

ドラッカー教授の著作では、この領域に関する言葉が多くはないのですが、言及される機会の多寡とその重要性は別物であると気づきました。<マネジメントと人間力>の連載は、この領域の重要性とドラッカー教授の言葉の少なさを補完する意味をもつています。

 

しばらく、このテーマで続けていこうと思います。コロナの出現から1年が経とうとしていますが、どんな時代になろうとも必要なものが人間力です。ドラッカー教授が示す言葉は不変の原理を備えているからです。

 

リーダーシップが発揮されるのは、人格においてだからである。
『現代の経営』

 

この言葉は古から今に伝えられています。

 

『大学』に曰く。
その家を齊(ととの)えんと欲する者は、先ずその身を修む。

 

「家」は、現代的にいえば組織といえましょう。

すこし古めかしい言葉、「修養」とは人格を養う行為を示しています。

このことは、日本に伝わる「修養」の伝統がマネジメントに生かせることを意味します。

 

コロナ禍であっても前に進めなければならないのが人材育成です。それは益々マネジメントの要になります。なぜなら非接触、分散という新しい価値観が定着すると指示・命令型のマネジメントを続けていては組織が急速に劣化するからです。アフターコロナやウィズコロナ時代の人材育成は次の三つの領域で淡々と進めなければなりません。

 

第一領域
その組織に特有の業務知識、業務スキルなど

 

第二領域
コミュニケーション能力、分析力、時間管理能力など、どこの組織でも通用する能力(ポータブル能力)~(ドラッカー教授の「成果をあげる能力」はこれに属する

 

第三領域
人間力

 

人類は、しばらくの間、コロナ禍の影響を受けて活動することになります。しかし、アフターコロナはコロナ前とは異なる世界になることは間違いありません。何もしないという選択肢はありません。何もしなければ過去の時代に取り残されます。浦島太郎のような状態になると思ってください。今できる確実なことを着実に進めていきましょう。新しい時代で大いに成果をあげることを誓って一日一日を真剣に生きていきたいものです。
新年も大いに学びましょう。よいお年をお迎えください。

 

佐藤 等(ドラッカー学会理事)

 

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