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最高の専門性を備えつつ、「教会を建てている」といえる人財【経営のヒント 800】

専門化への努力に危険が潜む、組織全体としての成果への関心を逸らす。
『経営の真髄』<下>p.40

ドラッカーは、「それどころか組織には、人を間違った方向へ持っていく大きな要因4つある」としその筆頭に「専門化」を挙げました。

この節には有名は3人の石工の話が出てきます。
石工は「何をしているのか」と聞かれます。
一人目:「暮らしを立てている」
二人目:「最高の仕事をしている」
三人目:「教会を建てている」

一人目の石工はマネジメントの人間ではないし、そして将来もマネジメントの人間にはならないでしょう。

問題は二人目の石工です。これが「専門化」という人を間違った方向へ導く要因です。問題の本質は、本人が重大なことをしていると思い込んでいることです。もちろん最高の専門性を磨くことを当然としなければなりません。しかしそれは、全体のニーズとの関係においてでなければならないということです。

組織のマネジメントや専門家の多くも実は、第二の石工のように自らの専門を重視します。不可欠の人財になるには、事業全体をマネジメントし、全体の成果に責任をもつ人間の数を増やすことです。

それは全体のマネジメントに関わる人を増やすことを意味しません。全体の成果に責任をもつ各分野の専門家がそれぞれの部門にいる状態を作ることです。最高の専門性を備えつつ、「教会を建てている」といえる人財を育成することが求められます。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

 

 

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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