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≪利益とは何か~その2≫

 お盆前から秋風?暑いはずの夏も、今年の北海道は別世界です。お陰で電力は大丈夫そうです。冬の節電対策(冬は命に関わりますので)に本気で取り組むためには、一度くらい計画停電も必要かなどと、一人不謹慎なことを考えていましたがお盆ころから急に暑くなり予断を許さなくなってしまいました。

 さて5月号で予告していた「利益とは何か」の第二弾です。6月の予定でしたが…。前回は、利益という考え方の誕生した経緯などを書かせてもらいました。もともと会計は、一航海一会計が原則で、航海終了後に現金で清算することを原則としていました。キャッシュフロー経営そのものですね。

 5月号にも記載しましたが、権威ある会計学辞典によれば「会計において、利益はある期間における企業資本の増加分である」とあります。会計の基本が航海期間にあったように「利益はある期間」と不定期でした。今のような定期的な期間を定めるようになったのは、どのような事情からでしょうか。

 イタリアで発達した複式簿記という卓越した記録法は、イタリア商人を介して各地に伝播しました。とりわけイタリアから16、17世紀に商業、芸術の黄金期の地位を引継いだのはオランダでした。アントウェルペン、のちにアムステルダムは、イギリスの毛織物、ポルトガルの香料、南ドイツの銀・銅の貿易と金融で世界一の国際商都となりました。

 オランダでは、年に二回大規模な市場(いちば)が立ちました。商人は未販売の在庫品を持たざるを得なくなりました。「期間損益計算」の誕生です。

 つまり商売は、清算ではなく、継続することが前提となりました。そこで生まれたのが時間を区切って儲けを計算する現代の会計方式です。

 清算を前提としない、計算上の抽象的な概念としての「利益」が誕生しました。キャッシュフロー会計から形式的な仮計算としての利益へと発展(?)したことで実体がつかみにくくなりました。キャッシュフロー会計は、先祖がえり現象ということができます。

 その後会計は、イギリスの産業革命を経て工場などの大型の固定資産を所有する際の会計の方式を追加し、「減価償却」というさらなる仮計算の要素を加え、現代の会計とほぼ同型となりました。

 イタリア→オランダ→イギリスと ヨーロッパ周遊旅行みたいですが、会計は各地の各経済の状況を加味しながら発展してきました。原型を知っておくことは、会計のもつ本質を探る手がかりになります。会計において何が本質なのか。基本的には、現在の清算価値と未来の収益獲得能力です。この数字がどこをどうすれば手にできるかを考えることが重要です。会計の歴史にそのヒントがたくさんありました。ご興味のある方は、相談日などをご活用下さい。ジックリお話をさせていただきます。

ナレッジアドバイザー 佐藤 等

 

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