知識労働者のマネジメント【経営のヒント 675】
知識労働者とは、総体として見るとき新種の資本家である。
『経営の真髄』<上>p.71
現代社会は、知識社会といわれています。そこでは、知識が競争の源泉となっています。ドラッカー教授は、もっと強調し、「知識こそが主たる生産手段、唯一の希少資源」だといいます。
これまでの社会と違うのは、その生産手段の所有者が知識労働者だということです。これまでの資本家のもつ資本はお金でした。あるいは、そのお金を投資して得た工場などのモノが資本です。
モノやカネを用いて何かを生み出す時代を経て、もちろんこれらは今でも重要な資本ですが、現代では決定的な資本は知識なのです。しかもこれらの所有者が組織に努める役職員なのです。このような時代は1960年代から始まり徐々にモノやカネから知識にシフトしています。
60年以上かけて、人を単なる労働者として使っていた時代から、財やサービスを生み出す資本の所有者として対応しなければならない時代への変化したのです。
それゆえ知識労働者のマネジメントがこれから重要になると1960年代からドラッカー教授は、強調していました。
進学率も向上し、知識を持って働く人が増えたのは事実ですが、そのためのマネジメントは充分と言えるでしょうか。ドラッカー教授が成果をあげる能力の存在を世に広めたのは、そのためでもあります。
成果をあげる能力―自分で時間を管理する、貢献に焦点を合わせる、自分の強みを生かす、最も重要なことに集中する、成果があがる意思決定を行う。
このような能力は益々重要になってきていることは言うまでもありません。あらためて確認したいものです。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)