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利益に関して【経営のヒント 485】

今月は利益に関して三話とりあげたいと思います。今日はその三回目です。

<ドラッカーの一言>

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利益は事業活動の有効性と健全性を測定する。

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『実践するドラッカー 〔利益とは何か〕』p.125
『現代の経営』p.104

今日の言葉は私にとって鮮烈でした。
「ドラッカー教授は利益には3つの役割がある」と述べました。
その一つが今日の一言です。

実は利益の役割を「会計」という世界では教えられることはありません。
会計の世界では、利益は結果なのです。
つまり<売上高―費用>という差額概念に過ぎないのです。

役割を道具と置き換えると「利益は道具である」と表現することができます。
道具には目的がありますの「利益の目的の一つは測定するための尺度である」ことが判ります。
利益という名前のメジャーそのものです。

これに対して会計における利益は、メジャーの目盛です。
黒字か赤字か、どれくらいの黒字かなど目盛が
どこまで来たかを教えるものです。
この目盛が何を示すのか?
一般的には業績を示しているということになるでしょう。

ドラッカー教授は利益を手段として、その目的を事業活動の有効性と健全性を測ることにおきました。
事業活動とは何でしょうか?ここでは事業の定義に戻って考えてみます。
「事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである」(実践するドラッカー[事業編]p.6 『創造する経営者』から)。

事業とは、一つのプロセスに資源を投下し、経済価値というアウトプットを生み出すことです。
事業活動の有効性とは、このプロセス、投下する資源、
生み出す経済価値が有効かを考えることにほかなりません。
生産性ではなく有効性です。

では有効性とは何でしょうか?
ドラッカー教授が第一に挙げた有効性は、
事業や製品・サービスなどが市場におけるリーダーシップを有しているか否かを問うことです。
ここでリーダーシップとは、その事業や製品・サービスが顧客にどれだけ支持されているかを示しています。
顧客支持力に欠ける事業や製品・サービスは早晩市場からの撤退を余儀なくされます。

利益は過去の事業活動の有効性を表します。
利益や収益性が未来保証することはありません。
そこで市場におけるリーダーシップの未来を問います。
見通しといいます。

さて次は健全性です。
仮に上記の有効性を問いかけた際に「A事業の市場におけるリーダーップの将来見通しが低下し、競合社と同程度の顧客支持力しかもたない」と判定されたとします。
この事業には過去、経営資源を継続的に投下し、質量ともに多くの運転資金や人材が投入されているとします。

今後も「この事業活動に従前どおり質量ともに経営資源を投下し続けることはいかがなものでしょうか」。
ドラッカー教授は未来のある事業活動に適切に資源を投下することを健全性という尺度に託しました。

将来性のない(少ない)事業活動から経営資源を引きはがして、
今は利益が少なく、収益性が低くとも
将来性があると判断される事業活動に資源を再度投入します、
これが原則です。

このようにドラッカー教授は、利益を事業活動の有効性と健全性の測定尺度として用いるべきことを示しました。
事業活動の有効性と健全性を測ることが目的ですが、その先の究極の目的は事業活動の修正です。
その起点となるものが利益であると示したのです。
まさに「マネジメントにおける利益」という概念を打ち立てたのがドラッカー教授です。
職業会計人を長く続けているゆえに見失いそうになるゴールに
灯をともしてくれるありがたい存在です。

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<実践のための問い>

不健全となっている事業や製品・サービスは何ですか?

佐藤 等

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