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知識労働者というコンセプトについて【経営のヒント 489】

今月はドラッカー教授のマネジメントの基盤にある知識労働者というコンセプトについて3回にわたってお届けします。

<ドラッカーの一言>

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現代社会は組織の社会である。それら組織のすべてにおいて
中心的な存在は、筋力ではなく頭脳を用いて仕事をする知識労働者
である。(中略)彼らは組織に貢献して初めて成果をあげる
ことができる。

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『実践するドラッカー 〔思考編〕』p.2
『経営者の条件』p.20

1960年代に現代社会を組織社会であると喝破したのはドラッカー教授です。
組織が社会の代表的存在となるという意味です。
実際、私たちが生活で必要にするものは組織が提供し、
生活の糧を求めて多くの人が組織に参加しています。

このような状況が生まれたのは第二次世界大戦後に企業が隆盛となったためです。
もちろん企業という形態は19世紀半ばころから世に生まれつつありました。
それが約100年かけて世の中を変える動因となったのです。

この変化の裏にはもう一つ重要な要因がありました。
働く人が主として筋力で仕事をする肉体労働者(マニュアルワーカー)から
主として頭脳を用いて仕事をする知識労働者(ナレッジワーカー)に変わっていったのです。

代表的な肉体労働の現場は、20世紀初めのフォード自動車の組み立てラインに見られる大量生産の工場でした。
1950年代に入り徐々にオートメーション化され、人々は機械を導入したり、
製造ラインを形成したり、機械のオペレーションや保守をするという仕事に変わっていきました。

スパナを置いて、計器を見ながら仕事をするようになっていきました。
目の前の車に触れるのではなく、機械のスイッチや図面が仕事の相手になりました。
これらの変化は、意識しなければ作業自体からは仕事の成果が見えにくくなったことを意味します。

そこで知識労働者は組織が成果をあげるために
「自分はどのような貢献ができるか」を考える習慣を身につけなければならなくなりました。
どのようなタイミングで機械のスイッチを入れ、どのようなタイミングで切るのか、
どのような図面が効果的なのかを自ら考えなければならなくなりました。
その仕事の目的は何か、仕事の成果は何か、どのような能力が必要なのかなど
肉体労働には求められていなかったことを求められたのです。

現代の組織社会において絶対的に必要なもの、それは「私は知識労働者である」という自覚です。
残念ながらドラッカー教授が1950年代末に生み出した知識労働者というコンセプトは未だに広まっているとはいえません。
しかし知識労働者というコンセプトを知らずしてセルフ・マネジメントはありえません。
知識労働者について理解を深めていきましょう。

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<実践のための問い>

あなたが日々行っている知識労働(仕事)を3つ挙げてください。

佐藤 等

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