2018年問題【経営のヒント 510】
最近私立大学が公立化するというケースを耳にすることが増えました。
教育関係者などの間でいわれている「2018年問題」、
つまり18歳人口の減少という問題です。
収入の減少という経営基盤をゆるがす事態に直面しています。
2018年を間近に控え、2010年頃から大学や専門学校の閉校や募集停止も相次いでいます。
ドラッカー教授の目からは見えていたのです。
<ドラッカーの一言>
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学校やア大学も、それがいかに知識社会に深く愛され、
根を下ろしていようとも、人口構造や技術や知識の変化によって、
社会的な機能を果たしつづけることができなくなれば閉鎖される。
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『ポスト資本主義社会』 p.82
18歳人口は、団塊の世代が18歳になった1966年の249万人をピークに増減を繰り返し、
団塊世代のジュニアの多くが18歳になった1992年には205万人となりました。
その後、一貫して減少、しばらく120万人をキープしていましたが、
2014年には118万人となってしまいました。
この間、18歳人口の減少は進学率の上昇によってカバーされ、大学等の経営を支えてきました。
しかし大学進学率は57%(2014)に達し、専門学校を合わせると80%以上になっています。
上限に達しているといえます。2000年頃には、18歳人口を学校の定員が上回る「全入時代」に突入しています。
このような状況でも4年生大学は新設、学部増設などを繰り返してきました。
20年前の1996年頃には子供たちが120万人を切ることは明らかだったにもかかわらずです。
今日の苦境は「すでに起こった未来」だったのです。
しかし、このような苦境は他人事ではありません。
若年労働人口の減少という形で私たちの組織運営に大きな影響を及ぼしてきます。
2018年問題はこの先20数年かけて18歳人口が100万人を切るという時限爆弾的な要素を抱えています。
つまりこの間、労働人口が毎年数万人レベル、累積では100万人レベルで少なくなっていくことが予想されています。
若年労働人口の減少は賃金の上昇圧力となって経営を圧迫します。
それ以前に人材確保が困難になります。組織の拡大が経営リスクとなる時代です。
少数でいかに生産性を上げていくかという問題がきわめて大切な時代になります。
この数年はこの問題にどのように取り組むかに没頭しなければなりません。
生き残りのための方針を立て、着実に実行しておかなければ手遅れになります。
未来はすでに起こっているのです。
佐藤 等