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利益の増減に関係するのはコストではなく活動である【経営のヒント 558】

利益に関する原理が続いていますが、今日でいったん締めくくります。
今日の原理は、仕事のマネジメントに通じるものです。

利益の増減に関係するのはコストではなく活動である
<マネジメントの原理19>

「利益を生むためにコスト管理を徹底せよ」という言葉を使いがちですが、明確な
間違えです。
えっ!と思い人も多数かと思います。どういう意味なのか?
この謎を解くには<売上、コスト、利益、活動、資源>の関係を整理してみれば解ります。

売上高 ― コスト = 利益 これは誰でも解る関係です。
しかしコストが売上を生むわけではありません。
売上を生むのは活動です。活動の良否が売上を生みます。

たとえば新商品を販売するために仕入をして、新しい営業マンを雇ったとします。
その彼は、営業経験はあるものの飛び込み営業というスタイルにまったく対応できずに、
売上をまったくあげられないで3か月経過したとします。
3か月分の給料と販売費というコストは何も生まず、その分、損失となります。
仮に3か月で新規事業撤退を決めたとすると在庫分も損失になります。

コストをかけたから売上があがるのではなく、優れた活動があるから売上があがるのです。
活動には資源が必要です。
資源はコストを伴います。
コストは何も生まない活動にもかかります。

繰り返します。
コストは何も生まない活動にもかかります。
したがってコストを管理しても売上があがるわけではありません。
販売活動を管理することで売上の多寡が決まります。
売上だけが投下したコストを回収することができます。
投下したコストを売上が上回れば利益がでます。
コストを抑えて利益をだすという発想は短絡的です。
どんな活動に対するコストなのかが重要です。
それゆえ、コスト管理ではなく活動管理を行うことが重要です。

この点、ドラッカー教授が著書の中で紹介しているパレートの法則(2:8の原則)がとても
参考になります。
全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという法則で、
多くの社会現象にあてはまるという経験則です。

たとえば、商品の売上の8割は全商品銘柄のうちの2割で生み出しているというものです。
これを活動管理に応用します。
すなわち20%程度の活動項目が80%程度の活動量をしめると考えることができます。
活動の重点管理が大切だということです。

頭をクリアにして一度、<売上、コスト、利益、活動、資源>の関係を整理してみましょう。

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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