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いま行っていなかったとして、いま始めるべきものか【経営のヒント 752】

「あらゆる政策、プログラム、活動について、『ミッションは何か』『いまも妥当なミッションか』『いまも価値あることか』『いま行っていなかったとして、いま始めるべきものか』を考えなければならない。」
『経営の真髄』<上>p.298

この章は「政府機関の再生」というタイトルです。政府機関の特性として継続性と説明責任が求められます。一度、始めたものはなかなかブレーキをかけられないのです。

とはいえ、予算には限りがあります。収入不足を借金(国債や地方債)で賄おうとするのは不健全です。それゆえ継続圧力に抗しながら、廃棄する仕組みを持っていなければなりません。

法令などの適用期間を決めてスタートするのをサンセット条項といいますが、法令のみならず、あらゆる活動に適用可能な考え方です。何に優先的に資金や人を配分するのか。行政という多様な人々を対象にサービスを提供する場合、難しい決断を迫られまる場面も多いと思いますが、財政の継続性を確保するには優先順位付けは欠かせません。

このような考え方は、一般の企業でも同様です。たとえば、ドラッカー教授は「独善製品」というコンセプトを提示しました。社長の思いだけで続いている長く日の目を見ない製品のことです。「いま行っていなかったとして、いま始めるべきものか」は、どんな組織体でも適用可能な魔法の問いです。一度試してみてはいかがでしょうか。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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