コミュニケーションとは知覚である【経営のヒント 835】
「大工と話すときには大工の言葉を使え」
『経営の真髄』<下>p.116
コミュニケーションの4つの原理の一つ「①コミュニケーションとは知覚である」を説明するため、ドラッカーは、ソクラテスの言葉を引用しました。
つまり相手の知覚できる言葉を使って始めてコミュニケーションは成立するという原理です。この言葉は、コミュニケーションといえば話し手の巧拙に焦点が当てられがちですが、本当に大切なのは相手の知覚能力を意識することだと教えています。
ドラッカーは、人間の認識は、知覚、概念形成、経験で成り立っているといいます。日本の大工が伝統的に使っていた道具に「墨壺」があります。
「スミツボ」という音を聞いても、使ったこと(経験)、聴いたこと(概念)もなければ何のことかさっぱりわかりません。
「スミツボ」という音から「墨壺」を思い浮かべるためには、使ったことがあるか、少なくとも現物か写真などで見たことがなければ、何も伝わらないということです。
つまり、相手が経験していないことについては、きわめてコミュニケーションを図りにくいということです。このことを念頭において日々のコミュニケーションに取り組みたいものです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)