事象の精度~精密性・適時性~【経営のヒント 844】
データは、事象の精度に即したものでなければならない。
『経営の真髄』<下>p.130
「マネジメントの方向づけにおいて、データが有効であるには7つの仕様がある。経済性、意味性、適切性、精密性、適時性、単純性、実用性である」
7つの仕様のうち前回は、経済性、意味性、適切性について触れました。今回は、「精密性」、「適時性」についてです。
「事象の精度」に即する…なかなか難しい注文です。このコンセプトは、単なるデータの精度とは異なります。事象が示す「意味」(構造)をとらえるためには、どの程度のデータの精密度がよいのかを問うています。たとえば、この6か月の顧客の動向を知るには、会計システムの売上高に関するデータはほとんど役に立ちません。少なくとも顧客数と顧客単価に関するデータが含まれていなければならないからです。この場合、データの精密性のレベルを上げなければなりません。
しかし今期が赤字か黒字かを3か月前に予測するには、精密なデータよりも全体に影響を与えるいくつかの要因に関する動向のデータの優先度が高いといえます。たとえば、A事業の契約予定数などです。細かな金額的な精密度よりも、契約可能性に関する確度という質的な情報が優先されます。ドラッカーが「正確な測定が困難であり、幅をもってしか評価
できないという情報こそ重要である」というのはこのためです。
「データは、時間間隔が適切でなければならない。精度と同じことは時間間隔についても言える」といいます。
目的にしたがって集計されたデータ(情報)を提供するタイミングの問題です。頻繁であること、迅速であることが良いとは限らないということです。反対に間隔が空きすぎることも危険です。どのようなタイミングが良いか(適時性)は、提供する情報の種類によって異なりますのでよくよく吟味して試行錯誤的に決めることが大切です。
次回は、残りの「単純性」、「実用性」についてです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)