イノベーションのマネジメント【経営のヒント 381】
今日も『マネジメント』の第61章「イノベーションのマネジメント」からです。
前回のイノベーションを行う組織の6つの共通点から―「2)イノベーションの力学を理解している」についてです。
<ドラッカーの一言>
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イノベーションを行うには、イノベーションを
イノベーションとして認識し、その力学、パターン、
予測の可能性を知らなければならない。
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『マネジメント<下>』p.276 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授は「成果をもたらしてくれる分野を体系的に探す方法を知っている」とし、
これを後に『イノベーションと企業家精神』に「イノベーションのための7つの機会」として結実させました。
この章には、その原型があります。
7つの機会は以下のとおりです。
1)予期せぬ成功と失敗を利用する
2)ギャップを探す
3)ニーズを見つける
4)産業構造の変化を知る
5)人口構造の変化に着目する
6)認識の変化をとらえる
7)新しい知識を活用する
イノベーションの種が、機会です。
その機会は、変化によってもたらされます。
ドラッカー教授は<探す、見つける>とすでに機会があることを前提とした表現を用いました。
もう一つの段階は<変化を―知る、着目する、とらえる>というものです。
機会そのものではなく、その一歩手前の変化を観るのです。
どちらがイノベーションの確率が高いか明らかです。
次は<活用する>段階です。
機会や変化はなくとも、新しい知識を用いて自力でそれらを生み出す行動です。
発明発見の類です。
最後に<利用する>ですが、「成功」や「失敗」という言葉が示すとおり、すでに事象が発生しています。
一度以上取引が行われているといってもいい状況です。
変化はもちろん、機会をも通り越しています。
もう一度行う。
もっと効率よく行う。
もっと効果的に行う。
もっと回数を増やす。
それだけでイノベーションが可能です。
いかがでしょうか。
「イノベーションが確率分布に従う」とドラッカー教授は考えました。
実は、7つの機会は確率の高い順に並んでいるのです。
そうであるならば、私たちが先ず目をつけなければならないのは、予期せぬ成功(失敗)を利用することです。
イノベーション力学を理解するという言葉の一例です。
力学を知っているかどうかでイノベーションの確率が変わってくるのです。
佐藤 等