マネジメントとは「ものの考え方」である(1)~(3)【経営のヒント 668】
マネジメントとは、何にもましてものの考え方であることを教えている。
『経営の真髄』<上>p.53
マネジメントとは、手法や分析道具のセットではありません。もちろん道具という側面はありますが、本質は「ものの考え方」にあります。ドラッカー教授は、7つの「ものの考え方」を示しました。
(1)マネジメントとは人に関わるものである。
(2)マネジメントは人と人の関係に関わるものである。
(3)あらゆる組織がその成員に対し、仕事について共通のゴールと価値観を持つことを要求する。
(4)マネジメントは組織とその成員を成長させなければならない。
(5)組織は、さまざまな技術と知識を持ち、さまざまな仕事をこなす人たちからなる。
(6)組織とそのマネジメントにとって、成果の尺度は生産量や利益だけではない。
(7) 組織にとって最も重要なことは、成果は常に組織の外にあるということである。
(1)人に関わるものがマネジメントであるとはどういうことでしょうか。組織は、人の強みを発揮させ、人の弱み意味のないものとし、チームで成果をあげることを目的としています。ドラッカー教授は、このことを「決定的要因」であると述べました。いかがでしょうか。このような「ものの考え方」を持っているでしょうか。
(2)人と人の関係がマネジメントということについて、重要なことは「その土地の文化と深い関わりを持っている」ということです。マネジメントの果たす役割は、どの国でも同じですが、その具体的方法は文化の違いにより異なるのです。それゆえマネジメントは、「自らのマネジメントに組み込むべき独自の伝統、歴史、文化を判別すること」であるとドラッカー教授はいいます。これが明治維新で日本が成功した要因です。
(3)組織の成員に共通のゴールと価値観がなければ、単なる人の群れとなります。組織に方向づけを与えるのがマネジメントの役割です。具体的には、組織の目的(ミッション)や価値観、ゴールなどの道具を用いて単なる人の群れに方向性を与え、生産的な集団に変えることです。
マネジメントとは「ものの考え方」であるの(4)~(7)については、次回説明します。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)