情報を持つものが力をもつという原則【経営のヒント 683】
新年がスタートしました。本年もよろしくお願いいたします。コロナ禍で変わりつつある顧客の価値観。それをとらえずにマネジメントの成功はありません。「顧客にとっての価値は何か」をあらためて問う機会が到来しています。さて今回のドラッカー教授の言葉です。
第四に、市場では、供給側とくにメーカーが主導権を持つとされた。製品やサービスの情報は供給側が持っていた。
『経営の真髄』<上>p.91
この常識も1970年代頃から反転しだしました。今や情報をもっているのは顧客側です。
特にインターネットの普及から顕著になりました。価格の比較はお手の物ですですし、競合する製品やサービスの情報も豊富にもっています。情報を持つものが力をもつという原則によって主導権が移動したのです。
ドラッカー教授は、この変化を「供給者たるメーカーは売り手であることをやめ、消費者のための買い手になった」と表現しました。後戻りしない大シフトです。この姿勢に転換できなかった供給者は、舞台から去っていきました。そして、これからも変わることはありません。
それゆえドラッカー教授は、「われわれの顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」と問います。これらの問いは、マネジメントの常識が転換したから必要になったともいえます。あらためて問い直したい問いです。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)