前提が変われば常識が変わる【経営のヒント 693】
「マネジメントのような社会科学では、前提としたものがそのままパラダイム、すなわち支配的な一般理論となる」
『経営の真髄』<上>p.112
前提が変われば常識が変わる―ドラッカー教授は、当然のことを私たちに伝えました。なぜか。
前提は、分析も研究の対象にもならず、疑問ももたれることはないし、あえて取り上げられることもないからです。
前提は、問題を規定し、事実を規定します。さらに領域をも規定します。さらに排除すべきもの、無視すべきものを規定します。
それゆえ「社会科学では、自然科学のパラダイム以上に、何を前提とするかが意味を持つ」のです。
人は、パラダイムにしたがって行動します。それゆえパラダイム、前提の変化を知ることは重要です。土台が変わったことを知らすに行動することは、事実を間違って理解し、間違った問題に取り組み、排除すべきでないものを除いてしまうなど適応の方向を誤らせます。
次回以降、変化したパラダイムについて具体的に見ていきたいと思います。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)