どんな組織にもイノベーションが必要【経営のヒント 713】
「われわれの事業は何であるべきか」との問いも必要である。現在の事業をまったく別の事業に変えることによって、新しい機会を開拓し、新しい事業を創造することができるかもしれない。
『経営の真髄』<上>p.180
「われわれの事業は何か」という問いは現在を問うています。これに対して「われわれの事業は何になるか」「われわれの事業は何であるべきか」は未来を投影する問いです。
現在の環境の変化を織り込めば、われわれの事業はどうなってしまうのかを問うのが「われわれの事業は何になるか」です。どんなに大きな成功をもたらした事業も必ず陳腐化します。
現在行っている事業について常に問い、今日の主力製品・サービスから昨日の主力製品・サービスに変わるタイミングを見逃してはなりません。体系的な廃棄のときを見逃さないことです。
「われわれの事業は何であるべきか」という問いは、予測される変化に適応するため現在の事業を修正し、できるだけ長く発展させるためにあります。それでもなお陳腐化は避けられません。
すべての事業がいつか陳腐化すると考えれば、組織は新しい事業を随時テストし、明日の主力製品・サービスを育てなければなりません。どんな組織にもイノベーションが必要な所以です。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)