知識労働者であることを自覚する【経営のヒント 765】
第三に、テクノロジスト自身が知識労働者であることを自覚することである。いかに肉体労働の部分が重要であり、時間がかかろうとも、焦点は知識労働者としての知識、責任、生産性を身につけさせることに合わせなければならない。
『経営の真髄』<上>p.346
これまでの投稿で「知識労働の生産性を向上させる方法」を6つ挙げました。
①なされるべきことは何かを考えることである
②自らの仕事に責任を負わせることである
③継続してイノベーションに取り組ませることである
④継続して学ばせ、継続して人に教えさせることである
⑤知識労働の生産性は量よりも質の問題であることを理解させることである
⑥知識労働者は、組織にとってコストではなく資本財であることを自覚させることである
今日は、前回にも取り上げたテクノロジストについて、生産性の向上の3つの条件を挙げます。基本的には6つの「知識労働の生産性を向上させる方法」の延長線上にあります。
1)テクノロジスト自身が仕事は何かを考えることである。
2)テクノロジスト自身が仕事の質を担保することである。
3)テクノロジスト自身が知識労働者であることを自覚することである。
ポイントは「自身が」ということです。自分で考え、決定し、行動することが求められています。テクノロジストは、それぞれ専門分野を持ち、専門領域外の上司が相談を受けても判断できないからです。
それゆえ仕事の質は自分で管理することになります。質の向上のために継続して学び、イノベーションを行う責任も自身にあります。
このような姿勢と行動の起点に自覚があります。自覚になしに考えることも、意思決定することもできないからです。テクノロジストの生産性向上の最も大切なポイントが知識労働者であることを自覚することなのです。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)