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小さく素早くスタートする【経営のヒント 766】

知識労働の生産性の向上を図るには、まずはじめに関係者全員の姿勢を変えなければならない。
『経営の真髄』<上>p.348

知識をベースに仕事をしている組織では、指示命令で組織を効果的に動かすことはできません。そもそも上司が有効な指示を出せるとは限らないからです。専門性は、仕事に向き合う現場に蓄積されるからです。それゆえ上司にできることは、方向づけを行うだけです。

さて全員の姿勢のどの部分を変えるかです。これについては基本を前回述べました。

1)テクノロジスト自身が仕事は何かを考えることである
2)テクノロジスト自身が仕事の質を担保することである
3)テクノロジスト自身が知識労働者であることを自覚することである

知識労働者であることを自覚することは、自分で考え、決定し、行動すると覚悟を決めることと同義です。

ドラッカー教授は、組織全体を急に変えるのではなく、パイロットテスト(試行)を行う必要があるといいます。

変化を受け入れる用意のある部門やチームを選び、先行テストをかなりの期間行うことをすすめています。これまでの思考習慣が変わるのには時間がかかるからです。また、予期せぬ問題や課題にぶつかるかもしれません。

こうして先行テストの結果、部門やチームが生産性を上げたのちに、さらに範囲を拡げていきます。こうして時間をかけて一人ひとりの知識労働者の姿勢を変革していきます。時間がかかります。小さく素早くスタートすることが肝要です。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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