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新しい価値を世の中に提供する【経営のヒント 771】

社会に存在する諸々の問題は、社会の機能不全であり、社会を退化させる病である。しかしそれは、マネジメントにとっては挑戦である。

『経営の真髄』<上>p.360

 

前々回、「社会的責任の問題は、企業、病院、大学にとって、2つの領域において生ずる」ということを示しました。

第一の領域は、自らの活動が社会に対して与える影響から生じます。

第二の領域は、自らの活動とは関わりなく社会自体の問題として生じます。

 

冒頭の言葉は、第二の領域に関わるものです。

 

ドラッカー教授は、その「挑戦」を事業の上の機会に変え、新しい価値を世の中に提供することとし、イノベーションと呼びました。自社の強みや卓越性を生かして、新しい機会に人やお金をシフトさせ、一つの事業として成立させることです。

 

しかし、すべての社会的な問題に対してイノベーションが成功するわけではありません。第二の領域の中には、社会的な病として残存するものがあります。

 

果たしてこれらの問題を解決する担い手は誰かが問われます。どこまで企業は第二の領域の社会的問題の解決に踏み込むべきかを考えなければなりません。それが次回のテーマです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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