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≪北海道の宝~ニッカウヰスキー余市工場~≫

 北海道遺産の第二弾が10月に発表され、私の大好きな場所であるニッカウヰスキー余市工場が選ばれました。歴史や製造工程を展示しているウイスキー博物館の突き当たり奥の燦然と琥珀色に輝くバー・コーナー「ウイスキー倶楽部」は、心を捉えて離さない、そんな空間です(私だけ?)。今年創立70周年を迎えたのを記念して、「ジ・アニバーサリー12年」が10月20日に発売されました。余市では、シングルモルトを作っており、同じ樽からできたモルト「シングル・カスク10年」(商品名)は、2001年世界唯一のウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」主宰のウイスキー鑑定イベントで、一位に選ばれ、まさに世界最高位ウイスキーの称号を得たものです。創始者の竹鶴政孝の描いた夢が結実した瞬間でした。

 竹鶴は、明治27年広島県の造り酒屋の三男として生まれます。単身でスコットランドに渡り、日本にウイスキー製造技術を持ち帰りました。同時にリタ(ジェシー・ロベルタ・カウン)という人生の伴侶を連れ帰国、寿屋(現サントリー)で社業に尽くした後、現在のニッカウヰスキーを選ばれし地、余市に創立。「スコッチに匹敵するウイスキーを日本でつくりたい」、その到達せんとするビジョンのすばらしさとともに、感心させられるのは、ニッカの由来である「大日本果汁」のコンセプトです。ウヰスキー作りには時間がかかる、その間果実酒を売って社業を支えようと考えたことです。「将来の事業の柱」と「日銭稼ぎ」、現在の企業経営にも大変参考になります。ただし果実酒は新市場で苦戦し、当初返品の山だったそうです。それにしても果物が採れ、スコットランドに似た場所は、日本中探しても確かに余市くらいしかないのです。一地域に産業が興るには偶然はないのだとまたまた関心です(前回の関心は灘の酒)。是非一度、北海道の宝「余市工場」を訪れ、竹鶴の留学時代のノートを見てください。情熱が漲り、力が湧いてきます。またまたお酒の話でした。お許しください・・・。

ナレッジアドバイザー 佐藤 等

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