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成果中心の組織【経営のヒント 341】

今日は、『マネジメント』<中巻>、
第46章「成果中心の組織-連邦分権組織と擬似分権組織」からです。

この章は、3つの組織の設計原理のうち「成果中心の組織」を取り上げます。
今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
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連邦分権組織は「われわれはいかなる成果を
目指すべきか」からスタートする。
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『マネジメント<中>』p.275 1973年 ダイヤモンド社

前章「仕事中心の組織-職能別組織とチーム型組織」は、
仕事からスタートすることを前提としました。
ドラッカー教授は「成果は活動の総和であると仮定する」とし、
「活動さえ正しく組織すれば、正しい成果が自然にもたらされる」としました。
これに対して連邦分権組織は、仕事ではなく成果からスタートするとしました。
成果とは、組織の外にあるものです。
市場あるいは顧客との関係性でもたらされるものです。
誰にどんな価値を提供するか、それが受け入れられたとき成果を手にすることができます。
したがって成果を明らかにすることは、「われわれの事業は何か」と同義です。
事業や成果の定義が定まった後に、仕事、課題、活動が決まります。

かつてドラッカー教授は、連邦分権組織を理想の組織と表現したことがあるくらい、
その潜在能力を認めていました。
事業毎に編成されているため明晰かつ経済的であること、高度に安定し、適応力もあります。
最大の利点は、明日を担うマネジメントの育成にあります。
事業部門のマネジメントを通じてマネジメントに必要な多くの経験を積むことができます。
事実、外部からトップ・マネジメントを招聘する以外のマネジメント人材は、
プロパーの何がしかの事業部経験者で占められるでしょう。
事業部の数だけ明日を担うマネジメントを育成する機会があるということです。
もちろんすべてのマネジメントに必要な能力を身につけられるわけではありません。
トップ・マネジメントの専権事項である事業に関すること―事業の進出、撤退の決定など。
資金の調達と配賦や人事配置などは身につけられないかもしれません。
しかし実に多くの経験を積むことができます。

このように利点の多い組織形態ですが、本部の肥大の問題などデメリットの要素もあり、
他の組織形態同様どのような状況で用いるかをよく研究する必要があります。
なお、擬似分権組織は、連邦分権組織の組成が不可能な場合にやむなく用いる形態です。
総合化学メーカなど一部素材事業は、この形を志向することになります。
いずれにしても設計原理をよく研究して適応すべき形態を決めることになります。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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