≪『リーダーの器量』を養う≫
今年は、日本中で紅葉が遅れ気味。赤く色づくはずの木々の葉も黄色が長く続いています。北海道の天気予報には、雪マークが登場。短い秋が終わりいよいよ冬の到来です。北海道は電力不足懸念で、例年になく凍てつく冬になりそうです。せめて景気ぐらいは…と思いますが、こちらも直近4半期のマイナス成長が報じられています。
そんなときリーダーは、どのように振舞うべきか。こんなときは、『致知』を紐解く。あった!昨年の8月号の特集は「リーダーの器量」。そんなわけで以下お裾分けです。
巻頭の総リードと呼ぶ箇所は、致知出版社藤尾社長が一筆入魂、心血を掛けての1ページです。そこにありました。リーダーに欠かせない資質が。
一にバイタリティ、二に楽天性、三に絶えざる自己修練。この3つの資質の前に明治4年の欧米諸国使節団の逸話が掲載されています。団長は、岩倉具視、以下百七名。大久保利通、木戸孝允、伊藤博文などの名が連なっています。事実上の体制転換となった廃藩置県から4ヶ月の壮挙です。
10ヶ月14カ国訪問の予定は、六百三十二日に及び帰国します。アジアの弱小国家を代表して、列強にまみえ、多くの学びを持ち帰りました。彼我の差は、今の日本では比べるものがないほどの弱小ぶりを感じたことでしょう。以下は、藤尾社長の筆によるところです。
「何よりも特筆すべきは、彼らの溢れんばかりのバイタリティであり楽天性である。そのバイタリティと楽天性が野放図に流れず、『武』と『学』の鍛錬によって陶冶されている。彼らの人間的迫力、人間的器量はそこに起因している」。
維新直後と比べ、今の日本は何と恵まれているのでしょうか。リーダーは、待っているものではなく、各人がリーダーたらんとする姿勢が重要とは、ドラッカー教授の教えです。
では、どうすればリーダーの器量は養えるのか。やはり『致知』に答えがありました。
第一に、古今の優れた人物に学ぶこと。私淑する人物を持ち、愛読書を持つことが、人物学を修める根本的、絶対条件とあります。
第二に、怯(お)めず、臆(おく)せず、勇敢に、己を空(むな)しうして、あらゆる人生の経験を嘗め尽すことです。人生の辛苦艱難、喜怒哀楽、栄枯盛衰を勇敢に体験することだと言います。体験の中に信念を生かしていって、初めて知行合一的に自己を練ることができるとあります。
要するに知識を実践することで人生を生きる智慧に換えること、日々確固とした心構えを持ちながら、小さな実践を積み重ねるに尽きるということです。次の日本国のリーダーが誰になろうと、自分の中のリーダーシップを鼓舞して日々を過ごしたいものです。それにしても『致知』はいい雑誌ですね。ご購読をお薦めします。
ナレッジアドバイザー 佐藤等