ホーム経営のヒント仕事中心の組織-職能別組織とチーム型組織【経営のヒント 340】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

仕事中心の組織-職能別組織とチーム型組織【経営のヒント 340】

今日は、『マネジメント』<中巻>、
第45章「仕事中心の組織-職能別組織とチーム型組織」からです。

この章は、3つの組織の設計原理のうち「仕事中心の組織」を取り上げます。
今日の一言です。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
肉体労働にせよ、知識労働者にせよ、すべて仕事は
三とおりの方法で組織される。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『マネジメント<中>』p.254 1973年 ダイヤモンド社

<3とおりの方法>

①仕事は段階別に組織される
②仕事は必要とされるスキル別に組織される
③職能別組織は人が動かず仕事が動く、
チーム型組織は仕事が固定され人が動く

職能別組織は、1910年ごろ、フランスの実業家アンリ・ファヨールが
開発したのが始まりといわれています。
企業の組織形態としては最古のものです。
調達、マーケティング、製造、営業、会計、人事などの職能にしたがって
仕事の単位を作ります。それに相応しい人を工場や部や課に集め、
そこに仕事がつくられていきます。

職能別組織の長所は、明晰さと安定性です。
その一方、硬直的で適応性に欠ける面があります。
したがってうまくいっているときは、高度の経済性を示し、
うまくいかなくなると摩擦が多く極度に経済性が悪化します。
セクショナリズムを助長しがちで、職能の強化を図ろうとすることで
生産性を落とす傾向があります。

これに対してチーム型組織は、少数の異なる知識やスキル、
背景と経験をもった人の集まりです。
企業体に適応されたのは、比較的新しいのですが、
氷河期の祖先の狩猟チームなど、おそらく人類最古の組織体だといえるでしょう。
狩のようにチームには明確な目的が必要です。
さもなければ異能の集団を使いこなせません。

チーム型組織の長所は柔軟さや適応性にあります。
短所は、チームリーダーが何とかしない限り、明晰さと安定性を欠きます。
ちょうど職能別組織と逆の特徴を備えています。
長所と短所が真逆ということは、補完関係にあるといえます。
それゆえ職能別組織を常設形とし、チーム型組織をスポット適用している例が
多数挙げられます。

いずれにしてもこの2つは組織の標準形態です。
よく学んで自分のものにしたいものです。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事