予期せぬ成功と失敗を利用する【経営のヒント 33】
第三章は、イノベーションの七つの機会の第一、「予期せぬ成功と失敗を利用する」です。おもいがけない成功や成功するはずの失敗から何を掴むかということがこの章のテーマです。この機会を用いれば、リスクも小さく、苦労も少ないとドラッカーは、言います。つまり成功の可能性が高いということです。一方で、予期せぬ成功は気づくのが難しく、注意も向けられないまま放っておかれ、誰かかがその利益をさらっていくとも述べています。松下電器は、だれもが日本でテレビが普及すると思っていなかった時代(1955年頃)に農家にテレビを売り込んで成功しました。これは、農家がテレビが外界と接触させてくれる道具であることを理解したため、当時相当高額であってもドンドン買ったからだそうです。松下電器は、当時他のメーカーももっと良いものを作っていたなかで農家の心理を見逃さずにチャンスを掴んだのです。今日のドラッカーの一言です。
<ドラッカーの一言>
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マネジメントが報酬を支払われているのは、その判断力に
対してであって、無謬性に対してではない。
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新訳『イノベーションと起業家精神-その原理と方法-』(ダイヤモンド社)より
無謬(むびゅう)・・・間違がないこと
予期せぬ成功を認めるのは、勇気がいると述べられています。なぜか?それはマネジメントが「間違っていた」と率直に認めるだけの謙虚さを持っていなければならないからです。自らの過ちを認めて、受け入れる能力に対しても報酬を得ているということです。深い言葉だと思いませんか。どうでしょうか予期せぬ成功を見逃していませんか?謙虚に今一度振り返ってみては。
佐藤 等