イノベーションのマネジメント【経営のヒント 382】
今日も『マネジメント』の第61章「イノベーションのマネジメント」からです。
前回のイノベーションを行う組織の6つの共通点から―「3)イノベーションの戦略をもっている」についてです。
<ドラッカーの一言>
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イノベーションについての戦略の指針は、
「より新しく、より異なるもの」である。
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『マネジメント<下>』p.277 1973年 ダイヤモンド社
イノベーションに成功するということは、新しい事業を一つ立ち上げることです。
したがって「われわれの事業は何か。何であるべきか」という問いから始まることになります。
この点は、同じですが異なる点があります。
それは前提の違いです。
既存の事業の戦略は、既存の製品及びサービス、既存の市場・顧客、既存の流通チャネル、
既存の事業プロセスなどが継続することを前提としています。
これに対してイノベーションの戦略は、遅かれ早かれすべてのものは陳腐化することを前提としています。
イノベーションとは、新しい価経済値を生み出すことであり、その意味で「より新しく、より異なるもの」を志向します。
したがってイノベーションの戦略を行う際には、既存の事業の戦略とは異なる要素を加味しなければなりません。
第一に、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることです。
イノベーションに優れた組織は、昨日の事業を防衛するために資源を使いません。
昨日を捨てることは、経営資源を解放することです。
資源なしに成功するイノベーションは一つもないのです。
第二に、目標を高く掲げます。
トップを狙うが合言葉です。
反面、市場にない新しいものは成功確率も低いままです。
いくつかのイノベーションの実行で全体をカバーします。
例えば、10のイノベーションを行い、1つ成功するのであれば、
9つの失敗コストを1回の成功で補って余りある規模でなければなりません。
このようにイノベーションも事業ですから、共通点が多い反面、
異なる点を意識してマネジメントしなければ成功はおぼつかないでしょう。
意識の置き所に注意してください。
佐藤 等