知識の生産性をあげる時代【経営のヒント 667】
マネジメントの革新は、すべて知識を仕事に適用することから生まれた。すなわち、システムと情報が当て推量や体力や汗の代わりとなった。
『経営の真髄』<上>p.48
第一次世界大戦が勃発したころ、マネジメントの出現に初めて気づいた人たちがいました。そう今から100年前、マネジメントの存在はまだ人々に知られる存在ではなかったのです。
第二次世界大戦では、そのマネジメントを適用することで米国の生産力を高め、連合国を勝利に導きました。未熟練労働者を訓練によって生産的にし、物資を大量に生産することに成功したのです。つまり知識を仕事に適用したのです。
米国は、第二次世界大戦後、多くの帰還兵に大学教育の環境を提供しました。その結果、1950年代には大量の大卒の労働者が誕生しました。のちに彼らをドラッカー教授は、知識労働者と名づけました。
「今日では、人類史上はじめて、高度の知識と技術を持つ膨大な数の人たちが生産的な活動に従事している。このようなことが可能になったのもマネジメントのおかげである」
「異なった技術と知識を持った人たちの共同作業によって、共通の目的を達成する方法など知られていなかった」
マネジメントという知識を知識に適用しているのが現代のマネジメントの姿です。これもまた人類史上初めてのことでした。
組織が生まれる前、私たちは知識を道具に適用し、生産性をあげてきました。その後、仕事に知識を適用することを覚え、今また、知識に知識を適用することで生産性をあげています。現代は、知識社会。知識の生産性をあげる時代。あなたは、どのような知識を資産化して生産性を上げていますか?
佐藤 等(ドラッカー学会理事)