バックミンスター・フラー【経営のヒント 412】
今日は『傍観者の時代』第13章「テクノロジーの予言者、フラーとマクルーハン」から
バックミンスター・フラーを取り上げます。
<ドラッカーの一言>
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あらゆる聴衆が体験するのは、バッキ―・フラー
ではなく、バッキ―・フラーが見るビジョンだった。
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『マネジメント<下>』p.292 1973年 ダイヤモンド社
ドラッカー教授はバックミンスター・フラー(バッキ―・フラー)を
大学の講義に招へいした時のことを記述しました。
講義時間は45分間、司会はドラッカー教授自身。
ところが、フラーは4時間話し続けました。
中断させようとするドラッカー教授の制止を振り切って
「これからが本番だ」と話し続けます。
終わったときは夜中の1時だというから驚きです。
しかしその間、フラーは聴衆を釘付けにしたといいます。
不思議なことに誰も一言も言葉を覚えていないといいます。
言葉の泡風呂と例えています。
言葉を覚えていないにも関わらず、話を聞いたことは忘れないといいます。
彼は何を語ったのでしょうか…。
彼は、ドナルド・ダクラスが持ち込んだラフな図の実現を、
きっちり10年後には手に入ると予言しました。
のちに「空飛ぶ要塞」と呼ばれた爆撃機B-25のことです。
また彼は、のちにエレクトロニクスと呼ばれるようになったものの出現を預言しました。
最大床面積と最小表面積によって冷暖房効果を極めたダイマクシオン・ハウスは
民間には広まりませんでしたが、北極圏のレーダー・ステーションに使われました。
彼は見る人、知覚の人でした。
しかも話しながら見せることができるという
類まれなワークスタイルを得意としていました。
ドラッカー教授はフラーは詩を語ったと表現しました。
得意分野と別なところに人のワークスタイルがあることは興味深いものです。
佐藤 等