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自らの専門領域によって自己規定する【経営のヒント 676】

知識労働者は、自らの専門領域によって自己規定する。

『経営の真髄』<上>p.75

会社名や組織名で自分を紹介するのではなく、自分の専門領域で自己紹介する時代が到来しています。例えばトヨダでは働いているといわずに、人事の仕事をしていますというのです。

このような傾向は強まる一方です。しかし弊害も大きいのです。組織への忠誠心の低下という問題です。知識労働者は、スペシャリストであり、その忠誠心は専門領域にあります。それゆえ知識労働者が同じ組織で長く働いてもらうためには、工夫が必要です。

たとえば、新規プロジェクトの責任者に指名するなど新しい挑戦の機会を与えることです。知識労働者は、本質的に解決すべき問題や課題を好みます。お金を払って知恵の輪を買うのが知識労働者です。働いた対価をもらうことは重要です。しかし、お金は絶対的な価値ではありません。何を生み出すかが重要です。

肉体労働では、やることが決まっていました。自分でやり方や方法を考えるとかえって効率が落ちることもあるからです。知識労働では、方法は目的と状況によって決まります。つまり自分で考え、決定し、行動することが求められるのです。

スペシャリストたる知識労働者と共に働く時代において何を変えなければならないか。一度、立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

 

佐藤 等(ドラッカー学会理事)

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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