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「プロの経営者、アルフレッド・スローン」【経営のヒント 422】

今日も『傍観者の時代』の第14章「プロの経営者、アルフレッド・スローン」です。
まだまだ続きます。

<ドラッカーの一言>
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
三〇年のうちには仕事のレベルは上がるよ。
!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!☆!
『傍観者の時代』p.321 1979年 ダイヤモンド社

前回に続けてドレイスタッドの物語です。
ドラッカー教授はいいます。
「ドレイスタッドの素晴らしさは、人についての考え方にあった」。
彼の人格を物語るエピソードを三つ挙げます。

◆エピソード1

当時GMの労働契約では試用期間は3か月間となっていました。
3カ月を過ぎる頃ドレイスタッドはこう問いました。

「作業が遅すぎます」
「工具の扱いはどう?仲間とのチームワークはどう?君とはどう?」

それに答えて部下。
「そういうことは問題ありません。しかし仕事ができないんです」

でれば、彼はこういいました。
「3か月で判断する必要はないよ。あと30年あるんだ。
真面目で、工具を大事にし、仲間を大事にするなら、
30年のうちには仕事のレベルは上がるよ」

ところがだらしない者、仲間をばかにする者は、
勤続年数にかかわりなく断固クビにしたのです。

◆エピソード2

当時GMでは教育訓練を新人に限っていました。
ドレイスタッドはこの方針に腹を立てていました。
「いよいよ教わったことが身につくようになったとのいうのに…」とぼやくのです。

職務拡大、ローテーション、継続教育の必要性を
いつも人事部や組合と話し合っていました。

◆エピソード3

当時GMでは、人事ポストは主流ではなく、上がりのポストでした。

「ジム・ローチはGMのトップになれる人材です。
そのためには、人のことを勉強させなければ」。

彼は人の重要性を理解していた数少ない幹部でした。
事実、ローチは後年、GMの会長になりました。

ドレイスタッドは、
後にドラッカー教授が仕事のマネジメントと人のマネジメントに分けて
記述したことを実際に現場で実践していました。
仕事と人に向ける眼差しの鋭さと温かさが光ります。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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