ホーム経営のヒント『実ドラ』【経営のヒント 446】

経営のヒント

HINT

経営のヒント

『実ドラ』【経営のヒント 446】

今回も『実ドラ』からです。
前回のメルマガで「すべての人は、自分の目的のために働きます」と述べました。
では「自分の目的とは何か」。
今日はこの点を深めてみます。

≪ドラッカーの一言≫
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
知識労働者は生計の資だけの仕事では
満足できない。(中略)
彼らは、知識をもって何事かを
成し遂げることを欲する。
したがって知識労働者には挑戦の機会を
与えることが不可欠である。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
『実践するドラッカー思考編』p.18
原典-『断絶の時代』p.296
いずれもダイヤモンド社

先進国では労働者のほとんどを知識労働者(ナレッジ・ワーカー)が占めています。
看護師など公的な資格の職業はもちろん、
飲食店のホールの担当者など特に資格が必要ない職業まで、
現代社会は単に指示、命令、マニュアルどおりに仕事をしていたのでは
成果のあがらない職業で溢れています。

ドラッカー教授は、
このような知識労働者は生計の資、つまりお金だけでは満足しないと断言したのです。
肉体労働者(マニュアル・ワーカー)の時代は、
指示・命令どおりにモノを作ることを中心に仕事が組み立てられていました。

生産ラインで一人だけ作業が速いと嫌われる仕事でした。
考える余地がほとんどなく(本当はあったのですが…)
人々は時間をお金に置き換えるしかありませんでした。
人々は機械のスピードとタイミングに合わせて仕事をしていました。
機械の奴隷のような状態で飽きる以前に苦痛そのものでした。

現代は知識労働者の時代です。
知識労働者は、
ある程度幅はありますが自分のスピードとタイミングで仕事をすることができます。
機械に使われるような奴隷状態からは解放されましたが、
今度は「飽き」の問題がやって来ました。

ドラッカー教授は言います。
「燃えつきるとは飽きるということである」と。
私たち知識労働者は、
ある程度の仕事は数年行えば満足に行うことができるようになります。
「飽き」はこの時にやって来ます。
私たちは、指示、命令、マニュアルどおりの仕事ではなく、自分の知識やスキル、
経験によって考え、判断し、行動するからです。
「飽き」の原因は慣れです。
慣れは楽ですが、長く続けば楽しくなくなります。

「飽き」をなくすには、自ら慣れを廃棄し、
「新しい挑戦の機会」を求めなければなりません。
やっと安定してきた中堅社員が辞める一つの大きな原因です。
うまく挑戦の機会を与えることも重要な仕事なのです。

-----
<実践のための問い>
何年も同じ仕事を行い、挑戦の機会を求めている従業員のために
行っていることは何ですか?

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

関連記事