実践するドラッカー思考編【経営のヒント 449】
『実践するドラッカー思考編』から一言が続きます。
<ドラッカーの一言>
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知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。
自らの仕事を業績や貢献に結びつけるべく、すなわち
成果をあげるべく自らをマネジメントしなければならない。
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『実践するドラッカー思考編』p.24
原典―『経営者の条件』p.21
A.自ら考え、意思決定し、行動する人と一緒に働きたいですか?
B.指示、命令、マニュアルどおり動く人と一緒に働きたいですか?
答えはどうでしょうか?質問を変えます。
C.あなたは仕事において自ら考え、意思決定し、行動する人ですか?
D.あなたは仕事において指示、命令、マニュアルがなければ働けない人ですか?
AかつCであればナレッジ・ワーカーの資格充分です。
かつてBかつDがワーカー(労働者)の主流だった時代がありました。
規格製品を大量に作ることがビジネスの基本であった時代です。
言われたとおりできるだけ効率的に作ることが要求されました。
しかし、そこには限界があったのです。
この考え方は、人を機械の一部に置き換えるものです。
人は機械ではありません。それぞれのタイミングとスピードで仕事を行います。
時代遅れの<指示・命令・マニュアル思考>が仕事の現場に残ってしまいました。
現代の先進国社会は、多品種少量生産、分業化、脱工業化、産業のサービス化、
情報産業の隆盛など<指示・命令・マニュアル思考>では生き残れない時代になってきました。
現代社会に必要なのは<指示・命令・マニュアル思考>です。
筆者は<自ら考え、意思決定し、行動する人>をもって
知識労働者(ナレッジ・ワーカー)と定義しています。
現代社会で「私は知識労働者である」と自覚している人が組織にどれだけいるでしょうか。
10%にも満たないのが現状ではないでしょうか。
最大の理由は、知識労働者という言葉を作ったのがドラッカー教授本人だからです。
本来は「マネジメント」という言葉と同じくらい重要な言葉(コンセプト)であるにもかかわらず
広まっていません。
社会を生き抜くには、<自ら考え、意思決定し、行動する人>:知識労働者が欠かせません。
したがってまず知識労働者であるという自覚を芽生えさせることから始めなければなりません。
そのためにはいくつかのステップが必要です。
第一に、経営者はともに働く人たちが知識労働者であることを認識することです。
指示、命令、マニュアルによって組織を動かしてきた経営者には大きなハードルとなります。
第二に、ともに働く人たちが知識労働者であること自覚してもらう必要があります。
そのためには、経営者自身の知識労働(ナレッジ・ワーク)と知識労働者の理解が欠かせません。
具体的に噛み砕いて伝える必要があります。
たとえば居酒屋の従業員がお客さんの名前と顔を憶え、名前で呼び、好きなお酒の傾向を考え、
提案するのは、知識労働そのものです。今月の旬の食材を使ってメニューを考えることも
知識労働です。
第三に、知識労働者という自覚とともに成果をあげること、
そのために自らが貢献するという考えを身につけていくことになります。
つまり自らをマネジメントするやり方、具体的には「成果をあげる五つの能力」を
習得していくことになります。
これらのステップがドラッカーのマネジメントを組織に導入する基礎となります。
セルフ・マネジメントの基礎の上に組織のマネジメントを構築できれば強固な組織に変貌します。
まずは知識労働者であるとの自覚の醸成から始めてみませんか。
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<実践のための問い>
いま行っている仕事の中にある知識労働の要素は何ですか?
佐藤 等