貢献【経営のヒント 459】
今日のテーマは「貢献」についてです。まずは今日の言葉から。
<ドラッカーの一言>
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組織の中の人間が果たすべき貢献は多様である。しかしそれらの貢献は、すべて共通の目標に向けられなければならない。
あらゆる活動が同じ方向に向けられ、あらゆる貢献が隙間なく、摩擦なく、重複なく、大きな全体をつくりあげなければならない。
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『実践するドラッカー チーム編』p.86
原典―『マネジメント<中>』p.69
ドラッカー教授は貢献contributionという言葉を用います。
分けることを意味するtributeを含む言葉です。何を分けるのか?
「大きな全体をつくる」ために必要な活動を分けるのです。
ここで「大きな全体」とは何を意味するのでしょうか。
具体的には「共通の目標」が「大きな全体」に当たります。
全体をつくるには、欠けた活動があってはなりません。
厨房で働く料理人がいなければフレンチレストランのサービスは提供できません。
貢献が隙間なく、摩擦なく、重複なく行われてはじめて生産的にサービスを提供
することができます。
組織の中にいる人間の役割は多様です。
飲食店ならば企画の担当者、仕入担当者、調理担当者、ホール担当者、レジ担当者など
小規模でも多様です。役割の分だけ貢献があります。
質の異なる多様な貢献に一つの方向づけをしなければ、調理人はできるだけ良い食材で
美味しいものを作ろうとします。
お店には対象としたいお客様がいますから、メニューはいくら高くてもいいわけではありません。
メニューの売価、食材の原価、一日の来店客数など方向づけが必要です。
ドラッカー教授のマネジメントの基礎に「調和」があります。「調和」とは異なるもの、
多様なものを包み込むものです。
『論語』に「子曰わく、君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず」という言葉があります。
君子はマネジャーと読み替えると「真のマネジャーは和という考えを用い、
同じでなければならないという考えをとらない。
逆に落第マネジャーは同じ価値観、基準でなければいけないと考え、
和することを避ける」となります。
和とは調和を意味します。
異なるものや多様なものを包み込み一つにまとめる風呂敷のような考え方です。
多様であることは自分と異なる価値観、強み、ワークスタイルを前提としています。
自分と異なるからといって排除したり、ストレスを感じたりしては大きな全体を作れません。
もしかしたら小さな全体も作れないかもしれません。
「貢献」という言葉の前提に調和という考え方があることをよく理解しましょう。
ドラッカー教授は「貢献」という言葉を使って必要な活動にフォーカスすることを期待しました。
どの活動にフォーカスするかによって全体をうまくつくりあげられるかどうかが決まります。
今一度、「貢献」の理解を深めましょう。
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<実践のための問い>
組織の多様性を高めるために何を行っていますか?
佐藤 等