動機づけ【経営のヒント 460】
今日のテーマは「動機づけ」についてです。まずは今日の言葉から。
<ドラッカーの一言>
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今日、従業員満足が関心を集めている理由は、産業社会において、
もはや恐怖が動機づけとなりえなくなったからである。
しかし、従業員満足に関心を移すことは、
動機づけとしての恐怖が消滅したことによってもたらされた問題に
正面から取り組まず、横に逃げているにすぎない。
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『実践するドラッカー チーム編』p.52
原典―『現代の経営〈下〉』p.161
今でも注目度の高い従業員満足という考え方があります。
ドラッカー教授はこの考え方を60年も前に否定していました。なぜか?
満足とは受け身の姿勢であること、つまり個人の価値観や考え方に多くを依存し、
とても曖昧な基準であることを批判しました。
たとえば「特に挑戦しなくとも大過なく過ごせる職場に満足している」をどのように考えるかです。
これはマイナスの満足です。
一方で「方向性が明確でない組織で働くことは苦痛だ」はプラスの不満足です。
満足が良くて不満足が悪いという単純なものではないことがわかります。
もちろん最近の従業員満足度調査などではこの辺りの工夫はされています。
しかしそれでも「動機づけ」という観点からは間接的であり効果性に疑問符が
つけられることも多い方法です。
問題は動機づけという課題の本丸である「仕事」から顔を反らしていることです。
動機づけとは持てる能力や経験、知識を意欲的に発揮するかどうかの問題です。
満足はその一つの結果に過ぎません。
戦前までの動機づけは失業という恐怖によって行われていました。
それは恐慌という負の現象の後遺症でもありました。
しかし人類は経済発展によりこの問題を克服してきました。
その結果、新しい動機づけ要因を見つけなければならなくなったのです。
雇用が安定すれば、給与という動機づけ要因が浮上します。
しかしニンジンを目の前にぶら下げても効き目はあるレベルまでです。
おなかが満たされている馬がニンジンに反応しなくなるのと同じです。
何か内発的な動機づけ要因が必要だとドラッカー教授は考えました。
教授は「責任」を動機づけ要因として指名しました。
そしてどうすれば責任をもつことができるかを考えました。
重要なキーワードとして「参画」があります。どんな場面が想定されるでしょうか。
これは皆さんへの次回までの宿題としたいと思います。
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<実践のための問い>
彼が参画すべき業務や仕事は何ですか?
佐藤 等