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データ化の罠【経営のヒント 464】

今日のテーマは「データ化の罠」についてです。まずは今日の言葉から。

<ドラッカーの一言>
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データ化できるものだけでなく、データ化できないものを考えなければならない。
データ化できないものについての配慮を忘れたデータ化は、組織を間違った方向へと導く。
結果として間違った情報を伝える。しかもデータ化に成功するほど、それらデータ化したものにとらわれる。

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『実践するドラッカー チーム編』p.117
原典―『マネジメント〈中〉』p.164

前回、「管理のための測定」をテーマにしました。今回はそこに潜む罠についてお伝えします。

たとえばこんな話があります。
よく言われる死筋商品(回転率の悪い商品と表現しておきます)CVなどでも結構な比率になっています。
限られた売り場面積では、この商品は少ない方がいいに決まっています。
仕入時期からカウントすれば売れ筋~死筋の商品別ランキングは
いまどきのシステムでは結構容易に手に入れることができます。

ある高級食材を扱う店舗で、死筋リストにしたがって下位20点の中にあった海外から
輸入した特殊な調味料系の商品を棚から外したところ
上顧客からクレームがありました。
「この商品があるから買いに来ていたのに…」とおっしゃるのです。

危うく上顧客を失うところでした。あわてて棚に復活させたのはいうまでもありません。
商品情報のデータ化には成功しましたが、顧客情報はデータ化できていませんでした。
商品に意識が集中し、顧客から意識が遠のいていたのです。データ化の恐ろしさです。

一方で食品スーパーのスタッフがこんな声を拾いました。
「私は1日一つのパックごはんで充分」と一人暮らしの高齢者がおっしゃったというのです。
お米が売れないと悩むお店は年々お米のパックの小型化の比率を高め
3kgや2kgばかりでなく1.5や1kgも増やしていきました。
それでもお米の売上は減るばかりでした。

一人暮らしの高齢者の声はレトルトパックを意味していました。
一人暮らしで調理の意欲が減退し、行動が変化していたのです。
お店はお米コーナーにレトルトのお米パックを大量に置くことになりました。

後日よく見てみると店舗の商品区分別売上レポートでは、
レトルトパックの売上区分は<一般食品>の区分に埋もれていました。
よく見ると年々売上数が伸びていることがわかりました。

何をデータ化するかの重要性とともに、データ化することによって
生まれる意識の格差をよく理解しておかなければなりません。
消費者の行動の初期変化などデータ化できないものへの配慮を忘れると
せっかくの機会を逃してしまいます。
アンテナの感度を上げておくことが求められます。

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<実践のための問い>
外の変化もしくは市場の変化をいち早く知るためにデータ化されていない情報をどうやって入手していますか?

佐藤 等

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