知識労働者という コンセプトについて【経営のヒント 491】
今月はドラッカー教授のマネジメントの基盤にある知識労働者という
コンセプトについてお届けしています。今日は最終回です。
前回、「頭のよさという資質」と「成果」の間に「体系的な作業」の他に
「成果をあげる能力」が必要であると述べました。
つまり頭の中にある知識を成果に結びつけるには、
「体系的な作業」と「成果をあげる能力」を要するということです。
<ドラッカーの一言>
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成果をあげるために共通するものは、つまるところ成果を
あげる能力だけである。(中略)成果をあげることは一つの
習慣である。実践的な集積である。実践的な能力は修得する
ことができる。
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『実践するドラッカー〔思考編〕』p.16
『経営者の条件』p.42
「体系的な作業」は仕事のマネジメントによりもたらされます。
どのような要素の作業をどの手順で行えばいいのかを決めることです。
料理のレシピのようなものです。
仕事のマネジメントは客観的で合理的に行われます。
つまり一定の食材を使って一番いい味を出すためには
店ごとに決まったレシピがあるということです。
人によって手順や分量が違うということがないように定めます。
これに対して成果をあげる能力は人に備わったものです。
人のマネジメント、もう少し突っ込んで表現すると、
人それぞれ異なるという意味でセルフ・マネジメントの対象です。
具体的には、
1.時間を管理する
2.貢献を重視する
3.強みを生かす
4.重要なことに集中する
5.成果のあがる意思決定をする
を中核とする能力です。
たとえば時間管理のレベルは人によって異なります。
そもそも強みは人それぞれに依存します。
その意味で自らを自らでマネジメントするというセルフ・マネジメントに依存します。
そして人が成果をあげる程度は、人が有しているこれらの能力に左右されることになります。
成果をあげることは習慣であるとは、これらの能力を習慣として身につけることにほかなりません。
これらの能力は実践を通してしか身につきません。
無意識に能力を発揮できる状態にすること、それが習慣です。
一度身につけた習慣はより高度な習慣に高めることができます。
このような意識で取り組む者だけが成果をあげることができるのです。
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<実践のための問い>
さらに高度な習慣にしていかなければならない能力は何ですか。
そのために必要なことは何ですか?
佐藤 等