「チェンジ・エージェントたれ」【経営のヒント 692】
「変化をマネジメントする最善の方法は自ら変化をつくり出すことである」
『経営の真髄』<上>p.107
ドラッカー教授は、このような姿勢と行動を表して「チェンジ・エージェントたれ」と述べ、組織の変身を求めました。「チェンジ・エージェント」とは、変革機関と訳されます。
ではどうすれば変化を自らつくり出す、変革機関になれるのか。
第一に、成果が出ていないものの体系的な廃棄です。
第二に、継続的な改善です。
第三に、予期せぬ成功の追求です。
第四に、体系的にイノベーションを行うことです。
変化は中立的です。つまり、ある組織には脅威であるが、他の組織には機会となるということです。変化を機会に変えるには、先ず自社のミッションに適合しているかを問わなければなりません。さらに、自社の強みを生かせるかを確認しなければなりません。
このような土台の上ではじめて、変化を機会に変えることができるのです。
体系的廃棄は、組織に資源をもたらします。既存の事業から人やカネなどの資源を解放し、新たな挑戦に備えます。資源を確保するため、何をやるかの前に何をやめるかを考えることです。
市場におけるリーダーシップを得ている事業や製品・サービスは、改善に次ぐ改善を行うことで変化の先頭に立つことができます。
予期せぬ成功は、可能性が各段に高いイノベーションの機会です。この機会を脇において他のイノベーション機会を探索することはナンセンスです。なぜなら予期せぬ成功は、少なくとも一度以上取引が成立しており、成功の可能性がずば抜けて高いからです。
さて体系的なイノベーションは、これらの手段を行ったあとに行います。なすべきことをなし、次の段階に進むことが求められています。コロナ禍、ウクライナ紛争など世界的な変化が私たちに影響をもたらしています。変化を機会に変えるという覚悟をもって難局を乗り越えたいものです。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)