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コミュニケーションの原理【経営のヒント 500】

先月に引き続きコミュニケーションをテーマにお伝えしてきました
コミュニケーションの原理。今日で最終回です。

<ドラッカーの一言>

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コミュニケーションは受け手に何かを要求する。
受け手が何かになること、何かをすること、
何かを信じることを要求する。
それは常に、何かをしたいという
受け手の気持ちに訴えようとする。

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『実践するドラッカー 〔チーム編〕』p.182
『マネジメント[エッセンシャル版]』p.160

「コミュニケーションは要求である」
これがコミュニケーションの最後の原理です。
要求は、発し手が受け手に対して行うことです。

コミュニケーションの目的は何かを伝達することです。
「何か」には情報共有のため、報告のためなど様々なものがありますが、
コミュニケーションの最も重要な局面は、人の意識や行動に影響を及ぼすことです。

「何かになること」「何かをすること」「何かを信じること」を要求するとは、
人の意識や行動を変容させることに他なりません。
そのためには「何かしたいという受け手の気持ち」、つまり期待を知ることです(前回の原理)。

さて、人の姿勢と行動に変容をもたらすことは、個人的な価値観を押しつけることではありません。
また姿勢や行動をコントロールすることでもありません。それはマネジメントではありません。

最も重要な情報はミッションや成果、組織の価値観など組織を方向づけるものです。
それは発し手の個人的な価値観などとは無関係なものです。

したがって受け手の期待と発し手の要求が異なれば要求を通さなければなりません。

それは組織が社会的な機関であり、仕事はそのために行われているからです。
「やりたいこと」ではなく「なすべきこと」に価値があるからです。

コミュニケーションはどうやってコミュニケーションを活性化させるかとともに、
コミュニケーションの対象も重要なのです。

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<実践のための問い>

あなたが最もコミュニケーションをとるべき人は誰ですか。
その人と何を話題にコミュニケーションをしますか。

佐藤 等

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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