自分はパラダイムシフトについていっているか【経営のヒント 694】
「違いのほとんどは、用語程度のことにすぎない。適用の仕方の違いにすぎない。直面する問題や機会さえ大きな違いはない。」
『経営の真髄』<上>p.116
今日からドラッカー教授が挙げた7つのパラダイムシフトについて見ていきます。
第一のパラダイムシフトについてです。
旧パラダイム:マネジメントは企業のためのものである
新パラダイム:マネジメントは組織のためのものである
マネジメントは、元々は組織のためのパラダイムだとドラッカー教授はいいます。世界恐慌のあたりに企業のものとの認識が定着し、60年余りたったというのです。
世界恐慌(1929)から60年、ドラッカー教授は『非営利組織の経営』(1990)を著します。「理論は現実に従う」という教授の言葉にしたがえば、本が出た(理論)ということは、それ以前に現実が存在したことになります。
さらに30年経った今。だいぶ常識になってきたのではないでしょうか。しかし一部にはパラダイムシフトがあまり起こっていない組織もあります。たとえば政府や自治体などです。
一方マネジメントは、今や組織に携わる者のすべての者にとって必要な体系です。これは、第8番目のパラダイムシフトといってもいいものです。
従来は、経営者やマネジャーにとって必要なものと理解されていたと思います。知識労働者が代表的存在となり、知識社会になった今、少なくとも日々知識労働を行う者にとってマネジメントは必須のものとなりました。知識労働の生産性が組織の明日を決定づけるからです。
現代の常識とは何か。自分はパラダイムシフトについていっているか。今も「天動説」を信じていないか。点検が求められています。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)