イノベーションと企業家精神【経営のヒント 529】
人口構造の変化は最も確実な未来だとドラッカー教授は言います。
<ドラッカーの一言>
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
すでに起こった人口構造の変化が現実
の社会に影響をもたらすにはリード
タイムがある。予測が可能なリード
タイムがある。
●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●―○―●
『イノベーションと企業家精神』p.94
『LIFE SHIFT』では先進国の年金を問題にしています。
世界で発売された同書の中に日本の年金問題が紹介されています。
1960年、日本は1人の年金受給者の給付金を勤労世代10人で
負担していました。
これが2050年には、勤労世帯10人で引退世代7人を支えなければ
なりません。
年金制度の崩壊は、リードタイムの中にある
「すでに起こった未来」なのです。
現在の公的年金制度は、給付額が現役時代の30~40%程度で、
引退世代1人に対して勤労世代10人を前提としているかぎり勤労世代の
所得の3~4%を負担させるという発想の下、出来上がっています。
すでに多くの国で勤労世代の所得あたりの負担率は10%を超えて
います。
また支給開始時期の調整などで給付額の削減を図ろうとしています。
いずれも勤労世代が支える引退世代の人数が増えたことによります。
各国で進んでいる対応は、税金や保険料を納める期間を長くする
ために引退年齢を延長すること、年金支給期間を短縮すること、
年金支給対象を所得や資産の少ない人に限定することなどです。
日本でも公務員の退職年齢を60歳から65歳に引き上げる動きが
あります。
これらは何を意味しているのでしょうか。
それは老後資金を確保する責任が個人に移っていることを意味します。
勤労時代にどれだけ貯めるか、そして勤労時代をどれだけ長くするか。
課題は実にシンプルです。
そのためには準備が必要です。働くための健康はその土台です。
さらにAIなどの新しいテクノロジーの登場によりこれまでの
職種や仕事はなくなり、新しい職種や仕事がうまれます。
引退までの時期が長くなるということは、このようなテクノロジーの
波にもある程度ついて行かなければならないか、もしくはこれらの
テクノロジーの影響を全く受けない仕事に就くかを考えなければ
ならなくなります。
働くことについての知識やスキルの維持、更新のリスク、
健康維持のリスク、家族との関係の維持のリスクなどに向き合いながら
長い時間を過ごす日が目の前まで来ています。
それは明日の問題ではなく、今日から一人ひとりが取組まなければ
ならない問題なのです。
【追記】
私たち、法務会計プラザは開設20周年を記念して、
<LIFE SHIFTの時代>と題し11月15日に講演会を行います。当日は、
宮澤弦さん(ヤフー上級執行役員)×孫泰蔵さん(ガンホー創業者)に、
LIFE SHIFのテーマで対談をお願いしています。
これからの人生を考える大切な1日になると思います。
佐藤 等