ふさわしい組織の構造はいくつか存在する【経営のヒント 695】
「組織がすべてではない。組織はともに働く人たちを生産的な存在にするための道具にすぎない」
『経営の真髄』<上>p.117
前回からドラッカー教授が挙げた7つのパラダイムシフトについて見ています。
第二のパラダイムシフトについてです。
旧パラダイム:組織は万能の正しい構造が一つある
新パラダイム:ふさわしい組織の構造はいくつか存在する
組織構造は、古くて新しい問題です。最初に機能別組織が出現し、アルフレッド・スローンなどが分権型組織を生み出しました。近年ではチーム型組織が注目されています。
それぞれが特有の強みと弱みともち必要な場面で使い分けられています。組織構造は、人を生産的にするために作られたものです。よく構造と強み弱みを知り、使いこなすことです。組織に参加したら、よく考えることです。
そのために守るべき原則があります。
(1) 誰もが自分が働く組織の構造を知り、理解できなければならない
(2) 組織には最終的な決定権をもつ者がいなければならない
(3) 権限には責任がともなうものでなければならない
(4) 誰にとっても上司は一人でなければならない
(5) 階層の数は少なくしなければならない
しかし、これらは上手くいくことを教えるものではありません。最低満たしていなければならない基準を示すだけです。唯一の組織構造は存在しません。それゆえ、それぞれの状況に合った組織構造を問い、探し、テストして試すことです。それくらいの柔軟性をもって取り組むべき課題です。
佐藤 等(ドラッカー学会理事)