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自社の事業を定義する(「われわれの事業は何か」を問う)【経営のヒント 550】

お伝えしてきた原理のマネジメントも10回を数える様になりました。
「原理とは、それに沿えば必ずうまくいくというものではないが、それから踏み外した
ときには確実に失敗する」。
早稲田大学MBAの西條剛央先生がおっしゃるように原理はとても重要な示唆を与えて
くれます。

さて前回、まとめた原理の中に次のものがあります。

<マネジメントの原理10>
自社の事業を定義する(「われわれの事業は何か」を問う)

この問いに答えるためには、2つのことを明らかにしなければなりません。
「われわれの顧客は誰か」と「顧客にとっての価値は何か」です。
なれに何を提供するのかということです。

実は、この問いはドラッカー教授の問いのなかでは有名です。
『経営者に贈る5つの質問』というドラッカー教授の著作がありますが、その中の2つです。
第一の質問は「われわれのミッションは何か」です。
<マネジメントの原理3>に関係しています。
第二の質問が「われわれの顧客は誰か」、第三の質問が「顧客にとっての価値は何か」です。
これらは原理に近い問いだけに重要性も際立っています。
ここまでくるとあと2つも興味がわきます。
「われわれにとっての成果は何か」と「われわれの計画は何か」です。
私たちはすぐに計画を立てようとする癖がついています。
しかし前提になるこれらの問いから導き出されない計画は、実行されない、あるいは
実行しても意味のない計画になりがちです。
ドラッカー教授の問いに答えることは、常に原理・原則に沿うことを求められます。
その意味で失敗しないマネジメントの幹に当たるところです。

さて5つの質問で用いられたコンセプトでドラッカー教授特有のものがあります。
「成果」という言葉です。
私は、セミナーなどで「この一年で出したい成果は何ですか」問うことがあります。
書いてもらうと、「資格を取りたい」「家を建てたい」「売上を1億にしたい」
「利益を倍にしたい」など自分が手に入れたいものが出てきます。
しかしドラッカー教授の「成果は外の世界における変化」なのです。
具体的にはお客様に起る変化です。
同じ言葉を使っていてもまったく異なる意味で理解しているとマネジメント不能に
なります。
そのような言葉が少数ですが存在します。
成果は、ドラッカー教授のマネジメントにおける最重要のコンセプトです。
ぜひ記憶して使えるようにしましょう。

<マネジメントの原理11>
成果とは外の世界における変化である

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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