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利益は、未来のリスクと不確実性をカバーする【経営のヒント 554】

<マネジメントの原理14>
利益は、未来のリスクと不確実性をカバーする

前回、挙げた原理です。
ドラッカー教授は「利益には3つの役割がある」と述べました。
その一つが上記です。残り2つの原理です。

<マネジメントの原理15>
利益は、事業の拡大とイノベーションに必要な資金調達の基盤となる

<マネジメントの原理16>
利益は、事業活動の有効性と健全性を測定する

マネジメント上、利益は、単に会計上求められる差額概念ではありません。
ハッキリとした役割があります。
利益というコンセプト(道具)の役割を理解して、これを活用するという姿勢が大切です。

わかりやすい<原理15>から行きましょう。
資金調達能力は、利益および過去の利益の蓄積額である剰余金の多寡で決定されます。
剰余金は内部に蓄積した過去の利益です。
内部留保が多いほど多くの資産を保有しているはずです。
たとえばそれが現金であれば金融機関は返済の能力を高く評価するでしょう。

また剰余金は純資産を高め一株当たり純資産を高めます。
もし新株を発行しようとしたら。
原則としてこの数字が高いほど発行価格が高くなります。
これは、利益をあげる能力が高かったことを意味します。
将来にわたっても期待できるとなれば発行価格はより高くなります。

このように利益(過去の利益の蓄積を含む)が大きければより多くの資金を調達することが
できるのです。
原理の15はそのことを述べたものです。

<原理16>は次回にしましょう。

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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