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診断と分析から始める【経営のヒント 707】

われわれはこれまで、苦境にある組織を蘇生させる魔法の杖を持つ人を捜し求めてきた。しかし事業の定義を定め、維持し、蘇生させるために、重役室にジンギスカンやレオナルド・ダ・ヴィンチが必要なわけではない。必要なのは天才ではない、勤勉さである。賢さではない、真面目さである。
『経営の真髄』<上>p.164

稀に魔法の杖をもっているように見える人が奇跡を起こします。しかし、奇跡を起こす人を待っている訳にはいきません。しかも「実際に奇跡を起こした人たち自身が、カリスマ性、予言、秘訣などといったものを強く否定している」といいます。

では、天才ではない普通の人は何から始めればよいのでしょうか。

ドラッカー教授は、「彼らは診断と分析から始める」といいます。何を診断・分析するのか。

それはただ一つです。事業の定義は陳腐化していないか。本章(事業の定義)ではこの一点を見てきました。奇跡に頼らず原理原則に忠実に勤勉に、真面目に行うだけです。

原理原則とは、(1)その事業は組織のミッションにしたがっているか、(2)その事業は自社の強みを基盤にしているか、(3)その事業は経営環境に適応しているかを問うことです。

そして、これらの前提として廃棄すべきことは何かを問うことです。一度立ち止まってじっくりと考えてみたいものです。

 

佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)

 

ドラッカー教授

佐藤 等

<実践するマネジメント読書会®>創始者。『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズ5冊の著者。ドラッカー学会理事。マネジメント会計を提唱するアウル税理士法人代表/公認会計士・税理士。ナレッジプラザ創設メンバーにして、ビジネス塾・塾長。Dサポート㈱代表取締役会長。
ドラッカー教授の教えを広めるため、各地でドラッカーの著作を用いた読書会を開催している。公認ファシリテーターの育成にも尽力し、全国に100名以上のファシリテーターを送り出した。誰もが成果をあげながら生き生きと生きることができる世の中を実現するため、全国に読書会を設置するため活動中。
編著『実践するドラッカー』(ダイヤモンド社)シリーズは、20万部のベストセラー。他に日経BP社から『ドラッカーを読んだら会社が変わった』がある。 2019年12月『ドラッカー教授 組織づくりの原理原則』を出版。 雑誌『致知』に「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」連載投稿中

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