ある小さな特定の発展【経営のヒント 726】
成功に必要なものは、ある小さな特定の発展だけである。
『経営の真髄』<上>p.207
「われわれの事業は何であるべきか」とドラッカー教授は問います。「ある小さな特定の発展」とは、企業家的な事業のビジョンの範囲に関わる問題です。
「小さな」も「特定の」も限定性を高める言葉です。つまり、焦点を絞ったビジョンが必要だということです。
『現代の経営』には「IBM物語」や「シアーズ物語」が各1章を割いて掲載されています。いずれも「ある小さな特定の発展」という事業の範囲に関する成功物語です。
IBMの基礎を築いたビジョンは、「データ処理」でした。シアーズ・ローバックのビジョンは「農家を顧客にし、信頼できる製品を低価格で入手できることを保証する」でした。
「ある小さな特定の発展」から始まった事業は大発展したのは、ご存じのとおりです。「ある小さな特定の発展を期待する事業は何であるべきか」。あなたはどのように考えますか。
佐藤 等(ドラッカー学会共同代表理事)